BACライトニングFMk.6 ハセガワ72
1960年台のキットをシャープに作ります。(M,A 1999年6月号)
最近のタミヤのミーティア、アカデミーのハンターに続き、今ちょっとしたイギリス機ブームです。 今回、忘れられていたライトニングにやっと注目が集まるようになり、ファンとしてはうれしい限りです。この上下エンジン配置、矢羽根型主翼という奇怪な形状がさすが英国、個性的でたまりません。 このハセガワのMk,6は、およそ30年前の72シリーズの極初期のキットですが当時中学生の筆者にはかっこよかった機体でした。キットは当初はコクピットはシートの他全くなく、がらんどうでしたが、現在は計器板、床板、操縦スティック等は追加され、改良の後が見られます。 胴体前部がデフォルメされていて、特に、コクピット付近にボリュームがあるのが気になります。しかし、修正するのは大変で、そんなことをすると、ほとんど胴体が新造になってしまいます。そういう改造をするならば、複座型でも作った方が建設的というものでしょう。今回はもちろんキットの雰囲気を楽しみながら、ストレートフロムボックスで外形状には全く手を加えずに作ってみましょう。
胴体
必ず、機首には重りを御忘れなく。でないと大尻もちです。釣り用の重りを粘土で止めるとよいでしょう。釣用重りはわざわざ釣具屋さんを探さなくとも、最近は大きなスーパーやディスカウントの釣りコーナーで売っていることも多いようです。 機首のエアインテークはダクトも無く、閉じられていますが、わざわざ開けるのも大変なので、塗装で黒に塗ってごまかしましょう。マッハコーンだけ切りとり、塗装後取り付けると作業が楽です。 尾部のジェットパイプは余力があれば、内部の可変ノズル等を自作してみると、良くなることは受け合いです。 1/100ファントムのノズル等が代用できます。筆者はというと、エッジを薄く削っただけで、内部をマホガニーで塗って完了としています。 コクピットは床板のみ組み込み、胴体塗装後に筆をいれて、内部を塗るという過激な手に出ました。 シートのみ、レジン製のマーチンベーカーMk4タイプを使ってあります。 気泡が多かったので、パテで修正を余儀なくされました。
翼のシャープさが命だ
ジェット機はやはり翼縁が直線でシャープでなくっちゃね。というわけで、キットはエッジが少し厚めなので、前後縁を両外面から薄く整形します。バッチリ直線になるように削りましょう。400番、800番の耐水ペーパーをそれぞれかまぼこ板等を貼り付けたものを用意しておくと、やすりがわりになり、しごく便利しています。 それから主翼下面に上下貼りあわせの隙間ができますから、しっかりパテで埋めて整形しておきましょう。 ついでに、垂直尾翼も前後縁を削って薄くしておくとGOODです。ドーサルフィンとうまくつながるように、すきまはパテで整形しましょう。 この翼類を胴体に接着すると、もう外形が見えてきます。
筋彫り
キットの太い凸スジ彫りを凹に彫り直しました。 今回は強めにしたかったので、タミヤのアクリルカッターを使いましたが、自分の使いやすい道具をお使い下さい。アクセスパネル等は全部彫り直さずに一部残すようにした方が、変化がついていいでしょう。
塗装
サフェーサーで下塗りを是非実行してみて下さい。一味違った仕上がりになります。プラの透明軽さが消えて重厚さがでるというか、もちろん感覚的なものですが、不思議なものです。 グンゼの特色を用い、説明書通りのグレイ3色迷彩としています。シックな装いですね。翼下面no.332
ライトエアクラフトグレー ,胴体no .334 バーリーグレー , 上面no.
335ミディアムシーグレーです。垂直尾翼は半つや消し黒です。もちろん。色の薄い順に吹き付けて行きますから下面から塗装を行う事になります。で、塗装をうまく見せるコツは面相筆を使い、タッチアップを完全に行うこと。といいつつ、筆者も腕はまだまだか。 墨いれには、油絵の具のバーントジェンナーをハンブロールシンナーで溶いて用いました。 デカールを貼った後、つや消しクリアをかけ保護をします。好みにより、箱の側面写真をみながら、パステルで外板継ぎ目部を汚すと実感も増します。
今月のヒント
機首の無塗装部分ですが、料理用のアルミ箔を貼りこんでみました。さすが本物の金属、輝きますよ。糊ですが、マイクロ(今はスーパーデカール)のMETAL
FOIL
ADHESIVEが入手できる方はそれを利用するのが簡単です。この替わりに木工用ボンドを水に解いたものを筆で塗っても、充分使えるようです。試してみて下さい。
小物をつけて完成へ
前脚、主脚などの継ぎ目の整形には、なべ用スコッチブライト(緑色の目の荒いナイロンたわし)を切って使うと、ペーパーよりも簡単で便利です。 主翼に下反角がついているため、このままつけると主脚が内股になってしまいますので、取り付け部を少し、削り、正面から見て、垂直に主脚が下りるように取り付けて下さい。 主脚カバーが平板状になっていますが、内側がへこんでいるのが本当です。彫刻刀で彫ってみました。 他の脚カバー類は厚すぎるので、全て0.5mm厚のプラ板で作り替えました。 この場合、キットのパーツを型紙代わりに使うと簡単にできます。 ミサイルにはデカールも用意されているので、ていねいに貼ると精密感が増しいい感じです。 機首のヒューズ管は最近模型屋で手に入るようになったステンレスパイプを組み合わせて利用しました。 ここまでやると、ストレートフロムボックスで作っても、30年前のキットがシャープに蘇ります。 筆者はキャノピーを可動式にして遊んでみました。キャノピーには1mm径ぐらいのしんちゅうか洋白線を曲げ、プラ材を介して取り付けます。 胴体側に同径の穴をピンバイスで開けて、この線をさしこんで完了。 資料のある方は、各部のアンテナ類を丁寧に追加してやれば、もっとよくなるはずなので、うんちくを傾けながらチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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