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川西・紫雲(E15K) AV-USK 72       

簡易成形のKITを素材と考えて手を入れるところにはしっかりと手を入れていきます。(M.A 1999年3月号)



  



 AV-USKというメーカーから簡易射出成形の72紫雲が出ています。
箱絵にはドハデな色使いで KAWANISHI E-15K NORMとあり、思わず紫雲=NORMとうなずいてしまいました。箱の注意書きに「いつの日にかこのカラフルでユニークな箱がコレクターアイテムになるはずである。」なんて書いてありますから、大切に保存しておきましょう。他にも冗談ともとれるような文があり、楽しいキットです。$24と、最近の48KITよりもかなり高価ですが、ここは稀少価値でしょうか。
 形状はそれなりに出ているので、素材としてはGOODです。モールドはすじぼりです。が、簡易成形の限界か全体にぼやっとした感じで、翼後縁が厚く、表面をペーパーで減量してビューティスリムにする必要があります。3面図が付属しているので、それを参考に思いっきり成形しましょう。
 コクピットなど細かい部分はエッチング部品が付属し、キャノピーは塩ビの真空成形品です。箱には上級者ONLYと書いてあり、確かにテクニックが必要なキットです。しかし、最近、やさしいキットに飽きてきた諸兄には充分手応えがあり、楽しめるでしょう。



   実機について

 昭和14年7月、海軍は川西に対し「14試高速水上偵察機」を発注しました。敵制空権下でも戦闘機の追撃を振り切って強行偵察しようというものです。エンジンは当時の実用発動機中最大の出力を持った三菱「火星」1680hpを使い、2重反転プロペラ、層流翼の採用をし、機体は戦闘機なみのスマートなスタイルになりました。
最大の特徴は、主フロートが緊急時に投棄可能で、補助フロートは上半分が布製で、飛行中は主翼下面に折り畳み式で、空気抵抗を減らそうという設計でした。しかし、16年12月に初飛行した結果、470kmに留まり、F4Fさえ振り切るのは困難と思われました。
結局,初期試作機5機、増加試作10機だけで開発は中止。うち6機が19年6月にパラオに実戦テストのため、派遣されたという記録が残っています。
 このAV-USKのキットは「2式高速水上偵察機」と呼ばれた前期の増加試作機(E-15K)をモデル化しています。
「紫雲11型」の名称で正式採用された後期の増加試作機(E-15K1)は補助フロートが固定化され、排気管が推力式になるなどの改修が加えられているので、傑作機N0.47の図面を参考にするなどして、改造するとよいでしょう。


   コクピット

 胴体にカウリングが一体となっているので、後で作業しやすいようにまずカウリング部を切り取ります。胴体コクピット部分にはプラ板を使ってリブ等を再現し、付属のエッチングパーツの無線機、スロットル等を注意して取り付けておきました。(写真)
シートはエッジを肉薄に見えるように削っておきました。シートベルトはエッチングで付属しています。同じエッチング製の足ペダルなどいい出来ですので、全部取り付けるとそれなりに精密になってきます。(写真)
 好みで適当に機器類をデッチアップし、ごてっと詰め込まれた雰囲気を出すと見た目の精密感が増しますよ。
 内部塗装は緑系とし、毎度のグンゼ特色303に歯磨粉(デンターライオン)を混ぜ、完全つや消しにして使いました。リブやシートのエッジはそれに白を混ぜドライブラシして強調すると、後でキャノピーから覗込んだ時、グッと見栄えがします。
 計器板はエッチングパーツの裏からフィルムを貼る構造となっています。フィルムの接着には透明エポキシを使うと、たとえ計器穴に接着剤がはみ出してもレンズのように見えいい感じです。針が透明になっていますので、フィルムの裏から黄緑を塗ると夜光塗料っぽくなり、超精密モデルって感じ。
 左右胴体を接着後、切り取ったカウリング部にプラ板を丸く切ってふたをしておきますと、後で便利です。
 垂直尾翼が別パーツになっているので、この段階で注意して接着します。このような強度の必要な接着にはタミヤの流し込み型セメントを使い、両側のパーツを押し付けて少し溶かすような気持ちでしっかりと接着するとよいでしょう。垂直尾翼後縁も薄く成形しましょう。切り取ったカウリングは左右接着後、丸く成形し、カウルフラップ部を薄く削り込んでおきました。



     主翼

 主翼型は東大の谷一郎教授が開発したLB翼と呼ばれる層流翼です。
上下を接着後、外面から翼後縁を手が切れるくらい薄く成形して下さい。80、240、400番のペーパーをかまぼこ板に貼ったものを用意すると、こういう修正には極めて重宝します。
 胴体との接着部に大きな隙間ができますが、ここは強引に接着しポリパテで埋めるのが手早くていいようです。
上反角は付属図面を見ながら、少し強めにつけるくらいでちょうどです。
    フロート
 主フロートは形状はばっちりで、精度も良く、成形後、注意して胴体に接着します。
 補助フロートは左右接着後、最終段階で取り付けますが、フロート支柱との接着面積が少ないので0.5mm程度の金属線を仕込むと丈夫になります。



   キャノピー

 塩ビキャノピーと胴体の接着には塩ビ用接着剤を用います。細切りプラ板で胴体側に接着用のりしろを作っておくと接着作業が易しくなります。
胴体との隙間はパテ埋め成形をしっかりとしましょう。


    塗装

 下塗りを是非行なって下さい。今回はグンゼサフェーサー1000を吹きました。充分に乾燥後、成形で消えたスジ彫りを彫り直しました。ついでにリベットを機体全面に打ってあります。リベット打ちはプラ表面に直接行なうよりも、サフェーサーの下塗り後行なう方がやりやすいようです。
 下面はニュートラルグレーNo.13で一度塗り、その上にNo.35海軍下面色をパネルラインを少し残しながら、吹き付けました。上面はNo.15海軍濃緑色だけだと単調になりがちなので、パネルの内側に薄いバフをピースコンをしぼりながら吹き、退色感を出しています。
 デカールは薄く良質です。日の丸は、白丸と赤丸が別になっていて、中心ずれの心配もなくユーザー思いです。
 2重反転ペラですが軸に径1mmくらいの金属線を追加します。薄く削り、長さを合わせます。ちなみにペラ直径は3.1mです。カウリングとスピナーはつやけし黒。ペラ表面はシルバーに先端に赤線2本です。フッと吹くと左右反対に回転し感動ものです。 
 
 簡易成形キットも素材と考えて手を入れるべき所は入れると後で飽きない仕上がりになります。では、幸運にもキットを入手した皆様がんばって!





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